寝室の照明を考えるとき、私は「部屋全体を明るくすること」よりも、どこに、どんな光をつくるかを大切にしています。
天井から均一に照らすだけではなく、壁や天井に光を当てたり、ベッドで本を読むための小さな灯りを設けたり。さらに、枕元のスイッチやコンセントまで整えることで、寝室の居心地は大きく変わります。
今回は、日々住宅の照明計画に携わるインテリアコーディネーターの視点から、私が寝室でおすすめしている4つの照明計画をご紹介します。
寝室にはアッパーライト|天井を照らしてやわらかな明るさをつくる
寝室では、天井から直接光を落とす照明よりも、壁や天井に光を反射させるアッパーライトをおすすめすることが多いです。
光源が直接目に入りにくく、天井面に広がった光が空間をやわらかく照らしてくれるため、就寝前の時間にも向いています。
アッパーライトを計画するときに大切なのが、器具のデザインだけでなく取付高さです。
例えばベッドのヘッド側に設置する場合、床から1700〜2000mm程度をひとつの目安として、天井高さや器具の配光、ベッドから見たときの光源の見え方を確認しながら位置を決めます。
高さによって天井への光の広がり方や見え方が変わるため、私は器具を選ぶとき、カタログの写真だけではなく配光や取付位置まで確認して計画するようにしています。

アッパーライトは器具だけでなく、取付高さと光の広がり方まで考えて選びます。
よく選定するのがパナソニックのXLGB82837CBE1と大光電機のDBK-37852G。
どちらもシンプルな形状で寝室をシックな空間に仕上げてくれます。
調光器も忘れず付けましょう。
タスクライト|必要なところに、必要な明るさだけ
寝室では、部屋全体を明るくする照明とは別に、ベッドまわりだけを照らすタスクライトがあると便利です。
例えば、就寝前に本を読むとき。天井の照明をつけたままにするのではなく、手元に必要な光だけを落とせれば、寝室全体は落ち着いた暗さのまま過ごすことができます。
私がよくおすすめするのは、壁付けのコンパクトな読書灯です。
器具が壁にすっきり納まるタイプなら、ベッドサイドテーブルの上にスタンドを置く必要がなく、空間もすっきり。左右それぞれに設ければ、隣で眠っている人を気にせず使うこともできます。
また、器具を選ぶときはデザインだけでなく、光の向きを調整できるか、ベッドに横になった状態で操作しやすいかも確認しています。
寝室の照明は「部屋を明るくするもの」と考えるのではなく、眠る・読む・くつろぐ、それぞれの行動に合わせて光を分けると、ぐっと心地よい空間になります。

ベッドサイドのタスクライト。必要な場所だけを照らせるよう、光の向きや操作性も考えて選びます。
私が「名作」だと思うタスクライト|Panasonic SLB71591LE1
寝室のタスクライトの中でも、私が「これは名作だな」と思っているのが、Panasonic HomeArchiのSLB71591LE1です。
使わないときは壁の中にすっきりと納まり、必要なときだけ灯具を引き出して手元を照らす。収納した状態では常夜灯として使うこともできます。
そして、本体を押すだけでON・OFFができ、光の向きも調整できる。ベッドに入ってから照明を使う一連の動作が、ひとつの小さな器具の中できれいに完結しています。

私が照明器具を選ぶときに惹かれるのは、見た目が美しいだけのものではなく、機能がデザインの中にきれいに納まっているもの。
この器具はまさにそれで、寝室を計画するときに何度でも使いたくなる照明です。
枕元のスイッチ・コンセント|家具用を選んですっきり納める
寝室を計画するとき、大事なのが枕元のスイッチとコンセントです。
スマホの充電やタスクライトの操作など、ベッドまわりにはコンセントやスイッチが必要になります。
私がこだわりたいのが、一般的な壁付けのプレートをただ並べるのではなく、ヘッドボードや造作家具に家具用コンセントを計画する事です。
特にヘッドボードを造作する場合は、ベッドやマットレスの高さ、サイドテーブルの位置まで考えながら、寝たまま無理なく手が届く位置を決めておくことが大切です。
寝室の照明計画というと器具はもちろんですが、「どこで点けて、どこで消すのか」も非常に重要な要素になってきます。
枕元という小さな単位の計画ですが、位置、要素、用途、色、素材、のベストを探すべく試行錯誤しています。
ヘッドボードの間接照明|光源を見せず、空間を照らす
もうひとつ寝室でおすすめしたいのが、ヘッドボードに組み込む間接照明です。
照明器具そのものを見せるのではなく、ヘッドボードの上部などに光源を隠し、壁面をやわらかく照らします。
間接照明の魅力は、単に「おしゃれ」というだけではなく、壁に広がる光のグラデーションによって、寝室に奥行きが生まれ、落ち着いた雰囲気を造れることです。
ただし、きれいに仕上げるためには光源の位置だけでなく、建築との納まりも重要です。
例えば写真のように、間接照明を仕込む部分までクロスを巻き込んで仕上げれば、余計な部材を目立たせず、壁と一体になったすっきりとした印象にできます。
また、ベッドに横になったときに光源が直接見えないか、壁面に光がきれいに広がるだけの寸法が取れているかなど、完成後の見え方を想定して納まりを決めることも大切です。
照明器具を選ぶだけではなく、「光をどこに仕込んで、どこを照らすか」まで考える。
寝室では、そんな照明計画が空間の心地よさにつながります。

ヘッドボードに光源を隠した間接照明。クロスを巻き込んで仕上げることで、すっきりとした納まりに。
寝室の照明は「明るくする」より「心地よくする」
寝室の照明は、部屋全体を均一に明るくする必要はないと私は思っています。
天井や壁をやわらかく照らすアッパーライト、本を読むためのタスクライト、ベッドから手を伸ばして操作できるスイッチやコンセント。そして、光源を隠して空間そのものを照らす間接照明。
それぞれに役割を持たせ、必要な場所に必要な光をつくることで、寝室はぐっと落ち着いた空間になります。
そして照明計画で大切なのは、器具のデザインだけではありません。
取付高さ、光の向き、スイッチの位置、ベッドとの関係、そして建築との納まり。
こうした細かな部分まで一緒に考えることで、見た目の美しさと使いやすさの両方を整えることができます。
一日の終わりを過ごす寝室だからこそ、自然と気持ちが落ち着く光を。
そんな視点で照明を選んでみると、寝室の居心地は大きく変わると思います。

