賑やかな渋谷の街中にありながら、一歩中へ入ると別世界。少し暗くて、落ち着いていて、つい長居したくなる隠れ家のような場所。
古い家具、使い込まれたテーブル、少し暗い照明。
コーヒーだけではなく、お酒も飲めて、気づけば長居してしまう。
渋谷にある「tokyo salonard cafe : dub」は、そんな空気をまとったカフェです。
2000年代、東京のカフェに夢中になった
2000年代に入った頃、東京にはそれまでとは少し違うカフェが次々と現れました。
古い建物を生かした空間。
アンティークやヴィンテージの家具。
少し暗めの照明に、音楽とアート。
コーヒーだけでなく、食事もできて、お酒も飲める。
「カフェ」という言葉の中に、インテリアも音楽もファッションも、ひとつのカルチャーとして詰め込まれていたように思います。
当時の私は、そんなカフェにかなり衝撃を受けました。
雑誌でカフェ特集を見つけては読み漁り、気になる店があれば実際に足を運ぶ。
そして家に帰ると、照明を暗くしてみたり、古い家具や小物を置いてみたり。今思えば、一生懸命「カフェっぽい部屋」をつくろうとしていました。
でも、それくらい新鮮だったんです。
趣味の良い音楽と家具。
きれいに整えられた空間では無い、雑多な空気感の居心地の良さ。
家具は全部揃ってなくて、それがかっこいいこと。
心を動かされる間接照明。
今の私が古い家具や照明に惹かれることも、新しいものとヴィンテージを混ぜた空間が好きなことも、振り返ればこの頃にかなり影響を受けている気がします。
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あの頃の空気が、今も残っている
サロナードカフェがオープンしたのは2004年。
もともとストリップ劇場だった場所をリノベーションし、劇場時代の痕跡を残しながら、新しい場所として生まれ変わったカフェです。
久しぶりに訪れてみると、そこには私が夢中になった「あの頃のカフェ」の空気が、今も残っていました。
年代物の家具、少し雑然とした店内、低い照明。
人の話し声が重なって、テーブルには食事とお酒。
20年以上も経てば、当時好きだったカフェの中には、もうなくなってしまった店もたくさんあります。
流行は変わり、カフェのスタイルも変わったけれど、こういう場所に来ると、やっぱり好きだなと思う。
新しいから格好いいのではなく、時間を重ねたからこそ出てくる空気がある。
それを今も感じられることが、とても嬉しいのです。
ここにしかない空気感
カフェに行く目的はいろいろありますが、
少し暗い照明の中で、食事をして、お酒を飲んで、話をする。
ひとり読書したっていい。
サロナードカフェには、そんなふうに時間を忘れさせてくれる空気があります。
明るすぎない照明と、使い込まれた木のテーブル。
キャンドルの小さな灯り。
周りから聞こえてくる話し声や、グラスや食器の音。
静かなわけではないのに、不思議と落ち着く。
きれいに整った空間で過ごす心地よさとは、また少し違う。
その場所に身を置いているだけで、日常から少し離れられるような感覚。
建物そのものにも、長い時間を重ねてきた跡が残っています。
そこに照明や家具、人の気配が重なって、ここにしかない空気ができている。
カフェそのもの以上に、そこに流れる時間が好きなのだと思います。
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変わらず好きな場所
20年以上経って、好きなインテリアも少しずつ変わってきました。
新しいデザインにも惹かれるし、すっきりと整った空間も好き。
それでも、古い家具や照明、時間を重ねた建物に惹かれるところは、あの頃からあまり変わっていないのかもしれません。
雑誌を読み漁って、気になるカフェを見つけては足を運んでいた2000年代。
あの頃に感じた「こんな空間があるんだ」という高揚感は、今の私のインテリアの好みにも、きっとどこかでつながっています。
久しぶりにサロナードカフェで過ごして、そんなことを思い出しました。
流行が変わっても、好きなものは案外変わらない。
古いものと、新しいもの。
少し暗い灯りと、お酒。
そして、隠れ家のような場所でゆっくり過ごす時間。
やっぱり、こういう空間が好きです。

