家づくりの打ち合わせが進み、住宅会社から出てくる「電気配線図」。
コンセントやスイッチ、照明の記号がたくさん並んでいて、「これで本当に大丈夫?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
私はインテリアコーディネーターとして約20年、住宅の照明・電気配線計画に携わってきました。今でも一棟一棟、実際の暮らしを想像しながら電気図面を書いています。
今回はそんな実務の中で、電気配線の打ち合わせ前に私が特に確認している10のポイントをご紹介します。
よかったら参考にしてみてください。
1|まず家具を置いてから、電気配線図を見る
私が電気計画をするときに先に確認するのは家具の配置です。
たとえばリビングなら、ソファ・テレビ・収納。
ダイニングなら、テーブルの大きさと向き。
寝室なら、ベッドのサイズと位置。
家具を図面に置いてみると、
「このコンセント、ソファの後ろに隠れるな」
「テレビは壁掛けかな」
「何インチだろうか」
「ベッドを置いたら使いにくい」
「ダイニングテーブルこの向きにしか置かないだろうか」
「サイズは?形は丸?長方形?エクステンションするのか?」
といった疑問が見えてきます。
電気配線だけを単独で考えない。
家具・家電・照明、そしてそこでどう過ごすのか。
それらを図面の上で重ねながら考えることを大切にしています。
2|ダイニングは「照明の位置」
照明計画の中で特に力を入れる場所、ダイニング。一番の魅せ場と言っても過言でないですよね。
ペンダント、スポットライト、ダクトレールを入れる、入れないなど、その物件は何が最適なのか
じっくり考えます。
人気はペンダントライトですが、「魅せ場」ですから、質が良く、永く愛される普遍的なデザインの照明をおすすめする事が多いです。
良い照明が1灯あるだけで空間の質を一段引き上げることができる、大事なアイテムです。
ペンダントの場合、設置位置をダイニングテーブルに合わせて適切な位置に計画する事が必須です。
それと同時に大事なのがペンダントの吊り高さ。
机面からの適切距離は器具の大きさや、灯数によって異なりますので、図面である程度寸法を導き出し
更に現場でも検証を重ね決めています。
3|TVまわりは、テレビの品番まで確認する
壁掛けテレビの場合、「テレビ用コンセントを高い位置に付けておけば大丈夫」では駄目です。
まずテレビの品番と壁掛け金具、これらを早い段階で確定してもらいます。
テレビによって端子の位置が違いますし、壁掛け金具の形状によっては、せっかく設置したコンセントと干渉してしまうことがあります。
あとは、
- レコーダー
- ゲーム機
- サウンドバー
- 有線LAN
- 外付けHDD
など、テレビにつながる機器も確認します。
周辺機器をTVボードに置くなら、テレビとの配線をどうつなぐのか。
配線を見せたくなければ、壁内に隠ぺい配管が必要かどうかも検討します。
テレビを取り付ける高さも大事です。
ソファの座面高さやテレビを見る姿勢、画面サイズなどを確認しながら決めていきます。
壁掛けテレビの需要が非常に多くなった昨今、これらの配線の配慮はマストになってきました。
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4|キッチンは使う家電を書き出す
キッチンは、家の中でも特に電源を使う場所です。
電子レンジ、炊飯器、トースター、電気ケトル、コーヒーメーカー。
最近では、ミキサーやフードプロセッサーなど調理家電を複数使うご家庭も珍しくありません。
だから私は、最初から「コンセントを何口付けるか」を考えるのではなく、まずそこで使う家電を全部書き出してもらいます。
そして、
どこに置くのか。
常時つないでおくのか。
使うときだけ出すのか。
同時に使う可能性があるのか。
を確認します。
ここまで考えると、「数は足りているけれど位置が使いにくい」「家電を並べたらコードが届かない」といったことにも気づきやすくなります。
特にカップボードまわりは、家電の幅や高さ、蒸気が出るもの、扉の開閉なども含めて考えたいところ。
また、消費電力の大きい家電を複数使用する場合は、コンセントの位置だけではなく回路や電気容量について住宅会社に確認することも大切です。
電子レンジはもちろん、電気ケトルなども結構電力を使いますから。
5|ベッドまわりは、コンセントとスイッチをセットで考える
寝室で仕上がった時に気になる事が多いのが、ベッドまわりの電気計画です。
スマートフォンの充電、タスクライト、時計など、枕元では思っている以上に電源を使います。
だからまず確認するのは、ベッドのサイズと配置。
シングルを2台並べるのか、ダブルベッドなのか。ヘットボードがあるか。それによって使いやすいコンセントの位置は変わります。
さらに私が一緒に考えるのが、照明のスイッチです。
寝る直前にわざわざ入口まで照明を消しに行かなくてもいいように、ベッドから操作できる計画になっているかを確認します。
そして寝室では、使いやすさだけでなく見え方にも少しこだわりたい。
枕元はアクセントなど意匠にもこだわる事が多い場所なので、一般的な壁付けのスイッチ・コンセントだけではなく、家具やヘッドボードの計画によっては家具用コンセントを組み込んですっきり納める方法なども検討します。
スイッチとコンセントは同じプレートでまとめて、色や素材にも配慮する。
それを操作しやすい適切な位置に配置する。
電気設備を単体で決めるのではなく、見せ方まで整える。
寝室は、そんな細かな計画が空間の完成度につながる場所だと思います。
6|掃除機とロボット掃除機は「収納場所」を考える
コードレス掃除機やロボット掃除機が増えた今は、どこで使うかより、どこに収納して充電するかが重要なのは周知の事実になってきています。
コードレス掃除機なら、収納の中にしまうのか。
壁掛けで充電するのか。
付属品も一緒に収納するのか。
収納内部で充電するなら、当然そこに電源が必要になります。
ロボット掃除機も同じです。
基地を置く場所を後から考えると、
「リビングの目立つところにしか置けない」
「基地の前に必要なスペースが取れない」
「コンセントまでコードが見えてしまう」
ということも。
だから間取りの段階から、ロボット掃除機の基地を決めておくとすっきり納まります。
さらに最近は、掃除機だけでなく電動工具や美容家電、モバイル機器など、家の中には「収納しながら充電したいもの」が増えています。
コンセントを考えるときは、
「ここで何を使うか」だけでなく、
「どこにしまって、どこで充電するか」まで考える。
これも私が電気図面を見るときに確認しているポイントです。
7|スイッチは、図面の中を歩いて確認する
スイッチ計画で私がよくするのが、図面の中を実際に歩くように考えることです。
たとえば帰宅したとき。
玄関を開ける
→ 靴を脱ぐ
→ 廊下を通る
→ LDKへ入る。
この動きを頭の中でたどりながら、
「暗い状態で、最初にどのスイッチを押す?」
「照明をつけたあと、どこで消す?」
と確認していきます。
寝室も同じです。
入口で照明をつけてベッドへ行ったあと、寝るときに入口まで戻らなければ消せない計画では使いにくい。階段や長い廊下なら、どちら側から入っても操作できるかも確認します。
もうひとつ気をつけたいのが、扉や家具との関係。
図面上ではきれいにスイッチが配置されていても、扉を開けた裏側に隠れてしまったり、家具を置いたことで押しにくくなったりすることがあります。
玄関・廊下・トイレ・収納などでは、人感センサーを使った方が自然な場所もあります。
ただ、私は何でもセンサーにすれば便利だとは考えていません。
そこで人がどう動くのか。
どのタイミングで点いてほしいのか。
逆に、勝手に点灯してほしくない場面はないか。
それらを考えてご提案しています。
スイッチ計画は、平面図に記号を配置する作業というより、その家での一日の動きをシミュレーションする作業に近いと思っています。
8|LAN・Wi-Fiは「とりあえず」で決めない
電気配線の打ち合わせで、意外と後回しになりやすいのがLANやWi-Fiなどの通信計画です。
でも今の暮らしでは、スマートフォンだけでなく、
テレビ、ゲーム機、パソコン、プリンター、タブレット、スマート家電など、ネットにつながるものが家の中にたくさんあります。
「空いている収納の中に入れておけばいい」と決めるのではなく、家全体への電波の届き方や、必要な配線・電源も含めて住宅会社に相談しておきます。
そして、仕事でパソコンを使う場所やテレビ・ゲーム機まわりなど、安定した通信環境が欲しい場所では、有線LANが必要かどうかも事前に考えておきたいところ。
特に在宅ワークをするなら、
「家のどこで仕事をするのか」
まで決めておくと、コンセントとLANをセットで計画できます。
私が電気計画で大切にしているのは、通信設備そのものを詳しく設計することではなく、
「この家で、何を、どこで使う予定なのか」を先に整理しておくこと。
通信機器はこれからも変わっていきます。
だからこそ、「今必要なもの」だけではなく、少し先の暮らしも想像しながら住宅会社と相談しておくようにしています。
9|生活に配慮し、その空間を引き立てる照明計画になっているか
照明計画で大切なのは、必要な明るさを確保することだけではありません。
暮らしやすさに配慮しながら、その空間の魅力をどう引き出すか。
私はこの両方を考えながら照明を計画しています。
まず考えたいのが、「どこを照らし、どこを照らさないか」です。
天井全体に均等にダウンライトを配置すれば、明るさは確保できます。
でも、空間をきれいに見せたいなら、むやみに灯数を増やせばいいわけではありません。
間接照明で壁や天井を照らすのか、ペンダントやブラケットで光そのものを見せるのか。
家具や素材、壁面など、見せたい場所に光を置くのか。
その空間の「見せ場」を決めてから、必要な場所に必要な光を配置する。
これだけでも、空間の見え方は大きく変わります。
そして、デザインだけでなく、生活の中での「見え方」も重要です。
たとえばキッチンでは、立ったときに自分の影で手元が暗くならないように照明の位置を考えます。
玄関は、ただ全体を明るくするのではなく、壁や飾りたいものを照らすなど、家に入った瞬間の印象まで考えてみる。
寝室では、横になったときに光源が直接目に入らないようにしながら、枕元には手元灯を。調光できれば、就寝前の時間も過ごしやすくなります。
トイレも小さな空間だからこそ、「明るく清潔に見せたい」「少し落ち着いたホテルのような雰囲気にしたい」など、目指す空間を決めると照明の選び方が変わります。
浴室は、ユニットバスを選択するケースが多いことから標準の照明を選択しがちですが、
目指す浴室に合うオプションを選ぶことで、手軽によりおしゃれ・くつろげる空間を作れます。
洗面は、身支度に必要な明るさを確保するメイン照明と、空間をきれいに見せる間接照明を上手に組み合わせるのがおすすめです。
照明はデザインはもちろん、暮らしやすさにも直結しますので満足できる住空間にするために、
オンリーワンの照明計画を心がけています。
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10|最後は「朝から夜まで」暮らしてみる
ひと通り電気配線が出来上がったら、最後にもう一度、その家で一日暮らすつもりで図面を見ます。
春夏秋冬、朝起きて、寝室から洗面へ行く。
身支度をして、キッチンで朝食をつくる。
家を出て、夕方帰宅する。
玄関から荷物を持ってLDKへ入り、料理をする。
夜はテレビを見たり、ダイニングでパソコンを使ったり。
お風呂に入り、寝室へ行ってスマートフォンを充電して眠る。
そんなふうに家族の動きを追っていくと、
「ここ、暗い状態でスイッチまで歩くことになるな」
「ここでスマホを充電したくなるかも」
「この家電、実際にはどこで使う?」
「雨の日の昼間は意外と暗い、照明大丈夫かな」
と、図面だけで見ていたときには気づかなかったことが見えてきます。
電気配線には、すべての家に共通するひとつの正解があるわけではありません。
家族構成も、持っている家電も、家具も、生活の仕方もそれぞれ違うからです。
電気配線図は、コンセントやスイッチを配置するためだけの図面ではなく、これから始まる暮らしを具体的にしていく図面でもあると思っています。
まとめ|電気配線は「暮らし」を重ねて考える
電気配線を考えるとき、大切なのは「コンセントをたくさん付けること」ではありません。
家具を置き、家電を置き、そこで家族がどう過ごすのかまで想像してみる。
そうすると、自分たちの暮らしに必要な電気計画が少しずつ見えてきます。
電気配線は完成後に簡単に変更できないものも多いからこそ、打ち合わせ中に一度じっくり図面と向き合ってみてください。
電気配線図のチェックも承っています
自分で電気配線図をチェックするのが難しい方へ
家具の配置や家電の使い方、毎日の動線、照明の見え方まで想像しながら確認していくと、「ここにも必要だった」「この位置では使いにくかった」という失敗を減らすことができます。
とはいえ、図面を見慣れていない方が、完成後の暮らしまでイメージしながらチェックするのはなかなか難しいもの。
「この電気配線図のまま進めて大丈夫かな?」と不安な方へ、現役インテリアコーディネーターの視点で図面をチェックするサービスをココナラで行っています。
コンセント・スイッチ・照明計画まで、実際の暮らしを想定しながら一式確認します。
