「なんとなく好き」を紐解く。心を動かす空間のつくり方

Interior

インテリアを見ていて、「なんか、この部屋好きだな」と感じることはありませんか。

色が好みだから。家具がおしゃれだから。
もちろん、それも理由のひとつ。

でも、心を惹かれる空間をよく見てみると、家具の配置や照明、素材の組み合わせ、余白の取り方など、いくつもの小さな要素が重なっています。

その「なんとなく好き」の理由を、インテリアコーディネーターの視点からひとつずつ紐解いてみたいと思います。

「なんとなく好き」は、ひとつの理由ではできていない

素敵だと感じる空間は、何かひとつが特別だから生まれるわけではありません。

壁や床の色、家具の素材やフォルム、照明の光、窓まわり、そして何も置かれていない余白。
それぞれは小さな要素でも、その重なり方によって空間の印象は大きく変わります。

たとえば、気に入った家具をひとつ置いただけでは、思い描いていた雰囲気にならないことがあります。反対に、高価な家具を揃えなくても、色や素材のつながり、家具の高さ、光の当たり方を少し意識するだけで、空間がぐっと整って見えることもあります。

大切なのは、ひとつひとつを「おしゃれかどうか」で選ぶことより、空間全体でどう見えるかを考えること。

「なんとなく好き」と感じる空間には、そんな小さなバランスがいくつも隠れています。

「何を置くか」より、「どう見えるか」

インテリアを考えるとき、つい「どのソファにしよう」「どんな照明を選ぼう」と、ひとつひとつのアイテムに目が向きがちです。

もちろん、好きなものを選ぶことは大切。
でも、空間の印象を決めるのは、もの単体のデザインだけではありません。

同じ家具でも、置く場所や周りとの距離、床や壁との色の関係、照明の当たり方によって見え方は大きく変わります。

特に意識したいのが、高さ・視線・余白。

背の高い家具ばかりが並べば空間には圧迫感が生まれます。反対に、低い家具を中心にすると視線が抜け、同じ広さの部屋でもゆったりと感じられます。

そして、何も置かない場所もインテリアのひとつ。
お気に入りの家具や照明を引き立ててくれるのは、意外とその周りにある「余白」だったりします。

「何を置けばおしゃれになる?」ではなく、
「この空間を、どう見せたい?」

そう考えてみると、家具や照明の選び方も少し変わってきます。

整いすぎない空間に、心が動く

色も素材もテイストも、きれいに揃った空間。
もちろん、それは心地よく、まとまりのあるインテリアです。

でも私は、そこにほんの少しだけ「違うもの」が入った空間に惹かれます。

白い壁と、一本の木の棚。
そこに花やアート、形の違う小物が並ぶだけで、空間にはその人らしさが生まれます。

すべてが同じテイストでなくてもいい。
「この色が好き」「この形に惹かれる」——そんな小さな感覚を重ねることで、整えるだけでは生まれない空間になっていきます。

一見すると異質に思えるものが加わることで、整っているだけではない、その人らしい空間が生まれます。

少しの違和感が、空間に個性をつくる。

そんな“整いすぎないバランス”に、私は心を動かされます。

自分の「好き」を集めてみる

心が動く空間をつくるために、まず知っておきたいのが、自分は「何が好きなのか」ということです。

好きなインテリアのテイストを聞かれても、「北欧」「モダン」「ナチュラル」といった言葉だけでは、なかなか自分の好みを表しきれないもの。

そこでおすすめしたいのが、InstagramやPinterest、雑誌などで、理由を考えずに「好き」と感じた空間を集めてみることです。

ある程度集まったら、それぞれの写真を見比べてみます。

木の色が似ている。
黒が少し入っている。
低い家具が多い。
照明の形に惹かれている。
アートや色の使い方が好き。

そうやって見ていくと、バラバラに見えた「好き」の中に、少しずつ共通点が見えてきます。

「なんとなく好き」を紐解いていくこと。

それが、自分らしい空間をつくる最初の一歩になると思います。

「『なんとなく好き』を、自分の空間へ」

素敵な空間をつくるために、正解がひとつあるわけではありません。

流行の家具を揃えることや、ひとつのテイストで完璧にまとめることよりも、自分が心を動かされたものを知り、その理由を少しずつ紐解いていく。

好きな色。
心地よいと感じる光。
惹かれる家具のかたち。
つい目に留まる素材やアート。

そんな小さな「好き」を重ねていくことで、誰かの真似ではない、自分らしい空間が少しずつ見えてくるのだと思います。

インテリアは、毎日の暮らしの背景になるもの。

だからこそ、ただ整っているだけではなく、ふと目にしたときに少し気分が上がったり、帰ってきたときに「やっぱりこの家が好き」と思えたり。

そんな、心を動かす空間を。

little plekではこれから、家具や照明、色、素材、レイアウトなど、空間をつくるさまざまな要素を、インテリアコーディネーターの視点からひとつずつ紐解いていきます。

タイトルとURLをコピーしました